6月1日~「幸せ」を感じるときは…
雨に濡れたカキツバタがいっそう輝いて見える季節です。
さて先日、知人のお寺のご住職のお話を伺いました。
ある日、そのご住職がご門徒宅でお勤めを済ませて、歩いてお寺に帰る途中、数人の小学校低学年の女の子が、地面を這うようにして捜し物をしていました。
ご住職が「何を探してるの」と尋ねると、「四つ葉のクローバーを探しているの」と答えたそうです。
「四つ葉のクローバーを見つけてどうするの」と重ねて聞くと、口を揃えて、「幸せになれるのよ」と答えたそうです。
女の子たちが求める「幸せ」という言葉に興味を持ったご住職は、一緒にクローバーを探しながら、「あなたたちが幸せを感じる時ってどんな時」と聞くと、その中の一人の子が当たり前のような顔をして、「ナモアミダブツと、仏さまにおててを合わせている時だよ」と答えたそうです。
思いがけない返事にご住職は驚きました。そして、その訳を聞いてみると、その子の家庭では、夕食前に必ずみんなそろって仏さまにお参りをするとのことでした。
そして、最後にお母さんが、「今日もみんな元気で一日が過ごせて幸せでした。有り難うございました。ナモアミダブツ、ナモアミダブツ」と一緒に言ってから、夕食が始まるのだと、教えてくれたそうです。
「親の姿を見て子は育つ」とはこのことでありましょう。
「毎日、夕食前には家族そろって仏さまにお参りをする」という繰り返しの中から、その女の子は親の姿を通して、とても大切なことを学び、大きな幸せを感じていたのです。
「幸せ」とは他人の境遇と自らを比較して感じるものではありません。そして、本当の「幸せ」とは、いかに時代が変わろうとも決して変わることなく、私のすべてを支えてくださる尊い教えに出遇うことかも知れません。
2018年05月31日【312】