5月1日~残された人のためにあるのかも…
風薫る季節です。
さて、先日テレビでシンガーソングライターの有坂愛海さんが、亡くなったファンのために行った追悼ライブの模様が放送されていました。
有坂さんは、テレビに頻繁に出演するような歌手ではなく、熱烈なファンに支えられて地道に歌手活動を行っている若い女性で、この度、追悼されたのは、十年間、彼女のすべてのライブに来場し、ファンとして支えた五十五歳の「おっきゃん」とファン仲間から呼ばれた男性です。
この男性には家族がなく、昨年、自宅で一人で息を引き取りました。
彼がしばらく姿を見せなくなったことに不安を感じた有坂さんは、本名を頼りに自宅を突き止め訪ねた時に初めて、近所の住人から「おっきゃん」が亡くなったことを知らされ、葬式が行わなれなかったことを知った彼女は、「みんなで集まって故人の思い出話を話す日がないと、寂しすぎる」とお別れ会を行いました。
有坂さんは、ネットで思いを綴ります。「来年はいないなんて全く思わなかった。去年はいたのに今年はいないお花見」、「おっきゃんは有坂現場に不可欠な人だったのに」、「追悼ライブなんだし、フロアにいるわけない…でも探しちゃう」、「いるかもしれないけどもう会えない、触れられない、話せない。だって、それが『死』なんだ」。
そして彼女はこう言います。「お葬式とかお別れの会って、残された人のためかもしれないです。特定の宗教に思い入れがないけど、お坊さんがお経をあげて、お焼香してお花をそえて、サヨナラをして、近しい人が煙になったのを見て、『こんな人だったね』と楽しかった話なんかをみんなでご飯を食べながら話して…。折にお墓に会いに行ったりして。それって気持ちの区切りのために必要な事だ」と…。
若い一人のシンガーに、人間がお葬儀を勤める大切さを、あらためて教えられたような気がします。
2018年05月01日【308】