7月16日~事あるごとに「有り難う」を
いよいよ本格的な夏がやってきました。
さて、先日テレビで、中年夫婦の家庭での関係性を良好に保つための、言葉かけテクニックなるものが放送されていました。
思想家の亀井勝一郎さんは、「恋愛は美しき騙し合いに始まり、結婚は惨憺たる理解に終わる」と言いましたが、お互いに一つ屋根の下で年数を重ね、すべてがお見通しの夫婦の関係性を保つことは難しいものかもしれません。
視聴者の質問に対し男性のコンサルタントが答えていましたが、そのコンサルタントの最後のアドバイスは、日常生活の中で一番大切なことは、お互いに事あるごとに、「有り難う」を言うことでした。
自分自身をふり返れば、家庭では食事を作ってもらうことも、洗濯してもらうことも、裁縫をしてもらうことも当たり前で、あまり言っていないかもしれません。
「有り難う」とは「有ることが難しい」ということで、「滅多にないこと」を意味し、元来、仏さまや神さまの功徳や恵みに対する賞賛や感謝の言葉として使われていました。
また、「おかげさま」という言葉も、仏さまや神さまの恵みやご加護に対する感謝の言葉で、「有り難う」と同様に時代と共に、人間に対しても使われるようになりました。
ある調査によると、人から言われて嬉しい言葉の一位が「有り難う」で、半数以上の人がそう答えたそうです。
もともと仏さまや神さまに対して使われていた言葉ですから、言葉自体に人と人の関係をよりよく保つ不思議な力があるのかもしれません。
たとえ夫婦生活が惨憺たる理解に終わろうとも、日々の生活の中で「有り難う」の感謝の気持ちは失いたくないもので、もしかしたらそれを繰り返すうちに、また新たな夫婦の理解が生まれてくるかもしれません。
2017年07月16日【289】