5月1日~心根を見つめる厳しく目
こいのぼりが、五月晴れの青空を元気よく泳いでいます。
さて先般、復興大臣が失言によって辞任をしたニュースが流れました。
原発事故の自主避難者が故郷に帰れないことを「本人の責任」と発言し謝罪をしたばかりでしたのに、今度は大震災が、「まだ東北の方だったからよかった」と発言し、ついに辞任に追い込まれてしまいました。
復興庁は、東日本大震災からの復興を目的とした行政機関ですから、今も苦しみや悩みをかかえながら生活されている多くの被災者を傷つけるようなこの度の発言は、その専任の統括責任者として到底許されるものではありません。
昨今繰り返される政治家の失言について、長期政権によるたるみがあるとか言われます。また会派の重鎮が、立場をわきまえてとか、多人数の前で話すときは気をつけてと、政治家が発言するときの注意事項を紹介し戒めていましたが、いずれも「心の中では思っていても、本音は人前で決して言うな」「口は災いの元だから気をつけろ」という程度のもので、物事の本質を問うたものはほとんどありません。
この度の発言で問われることは、東北の復興を目的とすべき大臣に、本当に被災地・被災者に心から寄り添う気持ちがあったのかということでありましょう。
また、ひとりの人間として、すぐに物事を比較して損か得かを考えてしまう人間の本質、自らの心根を、厳しく見つめる目を持っていたかどうかということでありましょう。
仏教では、心の行いを大切にします。日々の心の行いが、口の行い、体での行いとして現れるからです。
そして仏教では、その心に灯を持つことを勧めます。灯とは、私自身の本当の心と姿を顕かにし、正しく人生を歩むための道しるべ、つまり真実の教えのことです。
あなたの心には灯がありますか。まことの道しるべをお持ちでしょうか。共々に自らの心に問いかけてみましょう。
2017年04月30日【284】