12月16日~自分にとっても相手にとっても…
早いもので今年もあと半月となりました。
さて、お寺の幼稚園では、来年の学習発表会に向けて合奏や合唱、お遊戯や劇などの練習が始まりました。
年中児さんのクラスでは、劇の「桃太郎」の練習が始まりました。
桃から生まれた桃太郎が、常々村人に悪さをする鬼を退治するために、犬、猿、キジにきびだんごをあげて加勢をもらって、見事鬼退治を果たし宝物を持ち帰るというおなじみのお話です。
園児たちが、事前にその話をよく理解するために皆で会話をしていると、ある園児が、「鬼が鉄の棒や武器を持って村人に悪さをすると、村の人たちは怪我をして、痛い思いをしたり、苦しい思いをする」と意見を述べ、周囲の園児たちもその意見に同意したそうです。
そして会話が終盤の鬼退治の場面に来ると、園児たちから、「桃太郎たちが刀や武器を持って鬼退治にいくと、きっと鬼たちも村人たちと同じように、怪我をして痛い思いをしたり、苦しい思いをする」という意見が出たそうです。
その意見に対して、幼稚園の先生が「じゃあ、桃太郎たちはどうしたらいいと思う」と尋ねると、「刀を捨てて勇気を出して、話し合いにいけばいい。そして鬼たちと一緒に楽しく仲良く遊ぶように誘おう」と意見がまとまったそうです。
なんと素晴らしい子どもたちと先生でしょうか。
昔ばなしは、正義とか、無欲とか、約束の大切さなどを物語を通じて教えるものですが、子どもたちは一方的な押しつけの正義ではなく、自分を村人に写し、逆に鬼にも自分を写して、自分にも相手にとっても、本当に大切なものは何かを見だしています。
これぞまことのめでたし、めでたしです。来年の学習発表会が楽しみです。
2016年12月15日【275】