10月16日~言葉が必要な世界には…
菊の花開く季節です。今年も私たちの目を楽しませてくれることでしょう。
さて、アメリカではいよいよ大統領選が終盤を迎えます。
民主党のクリントン候補と共和党のトランプ候補の激しい戦いが続いていますが、先般開催されたテレビ討論会では、トランプ氏は、クリントン氏の夫ビル・クリントン元大統領の過去のセクハラ問題や、クリントン氏自身の私用メールアドレス問題を取り上げ批判。
一方、クリントン氏は、トランプ氏の女性蔑視のわいせつ発言や、中南米系やイスラム教徒、障がい者への差別発言を取り上げての批判と、アメリカの未来に向けての政策を語る場が、「史上最も醜い討論会」と言われるようにお互いの批判合戦に終始しました。
アメリカほどではありませんが、日本においても先の都知事選において、過去に大病を患った候補者に対し「病み上がり」と称したり、「大年増の厚化粧」などと候補者を誹謗中傷する光景がありました。
一挙手一投足が票に影響する選挙戦ですので、ついこのような過激な発言が出てしまうのでしょうが、本人の資質とは関係のない外見を誹謗したり、あまりにも政策とかけ離れた対戦相手の批判はいただけません。
また現在、選挙権も十八歳からですので、次代を担う若い方々には聞いてほしくはない内容です。
言葉は時によっては、身体での暴力よりも相手の心を傷つける武器になります。また、それらの言葉をメディアを通して聞いている人々の心も、知らず知らずのうちに荒んでいくことでしょう。
多くの民族がそれぞれの思いを持ちながら、生きていかねばならない私たち人間の世界には、その思いを伝えるために必ず言葉が必要です。
ならば相手に対し思いやりのある優しい言葉を語るように心がけましょう。
そして、どのような立場にあろうとも、いつ何時誰から聞かれても、恥ずかしくない言葉を使いたいものです。
2016年10月16日【271】