7月1日
梅雨空の隙間をぬってさす日差しは、もう夏色です。
さて、この梅雨の期間中に、小松美彦さんの『脳死・臓器移植の本当の話』という本を読みました。
1997年6月に国会で可決成立した、「脳死は人の死」と定めた「臓器移植法」の内容や臓器移植の現場の実態を、様々な角度から検証した本です。この本を読んで、私は大変驚くと共に、自らの無知を思い知らされました。
脳死状態になった女性から子どもが生まれたこと。脳死と判断された人の脳波が蘇ったという事例があること。脳死判定を受けた人に、メスを入れた途端に血圧が急上昇したり、身体が激しく動き、移植医があわてて麻酔を打ったこと。移植推進の医師らが移植現場の実態を隠蔽し、さらに法改正をしようとしていることなど、挙げればきりがありませんが、この本には過去、現在、未来にわたっての、脳死・臓器移植についての様々な疑問点が記されています。
私自身、脳死を人の死としていいのか、臓器移植を推し進めていいのか、あらためて考えさせられる機会となりました。
さらに、その本の中で、「私たちは日々の生活の中で、自分自身が何かに対処しているようで、他人の目や心や頭を借りただけになってしまっていることがあるのではないか。自分の目で見て、自分の心で感じて、自分の頭で考えることがなくなってきているのはなかいか」という言葉が、私の心に残りました。
つまり、毎日のように社会的な事件や問題が起こり、私たちはそれについて様々な感情を抱きますが、それが、本当に自分の目でよく見て、自分の心で感じて、よく考えた果てに抱く感情かどうかということです。
ともすると、テレビを中心とするマスコミの情報をそのまま鵜呑みにして、真実を知ることなく、自分の頭で考えることなく、一方的に抱かせられた感情ではないかということです。
脳死・臓器移植問題など、一つひとつの社会事象を、マスコミに流されるのでなく、自分の目で見て、心で感じて、深く考えることの大切さも、この本から学びました。
2006年07月03日【27】