2006年4月1日
四月八日は花まつり。今から二五〇〇年前、お釈迦さまが、現在のネパールのルンビニーでお生まれになった日で、花まつりはその誕生をお祝いする行事です。
さて、三月末のある朝、お寺に二本の電話がかかってきました。一本は、鹿児島を代表する船舶運輸会社社長のOさん、もう一本は、これまた鹿児島を代表する漢方医薬店社長のSさんでした。お二方とも、私が西本願寺鹿児島別院に在職の時、所属していたロータリークラブで大変お世話になった方です。
おおよそ八年ぶり、しかも突然の電話で何事かと思いましたが、内容は、「西本願寺の機関誌で、あなたの法話を読ませてもらいましたよ。久しぶりにあなたの顔を写真で見たので、懐かしくて電話をしましたよ」というものでした。
鹿児島別院の機関誌の三月号に、掲載された私の法話をご覧になって、わざわざ電話をかけてきてくださったのです。私は、あまりにも突然で、しかも懐かしさと、感謝の思いが一瞬のうちにわき上がって言葉になりませんでした。
Oさんも、Sさんも、私の拙い法話に対して、「有り難いご法話を読ませてもらいました」「お元気そうでなによりですね」と、電話越しに言葉をかけてくださいましたが、お二人とも大変お忙しい身なのに、しかもはるかに年下の私のことを憶えていてくださり、わざわざ電話をかけてきてくださったことに、私は大きな喜びと共に、大変恐縮することでした。
お釈迦さまは、私たちの生活の中で、「布施の心・施しの心を大切にせよ」と諭され、大きなお金も品物もいらぬ七つの布施を示されました。その中に、言語の「言」という字に辞典の「辞」、布施の「施」と書いて「言辞施」という布施を示されました。
これは、思いやり、ぬくもりのある言葉を相手にかける施しのことです。いくら携帯電話などが進歩しようとも、忙しい毎日、久しぶりの相手に電話一本かけて言葉をかけるということは、簡単なようでなかなか難しいものです。
Oさん、Sさんのお電話に心から感謝すると共に、八年ぶりに、また大切なことを学ばせて頂きました。
2006年04月04日【21】
<< 2006年3月15日 | 戻る | 4月15日 >>