こころの電話

最近の記事

9月16日~美しいお心をわたしに…。

 朝夕吹く風が、少し涼しくなってきました。

 さて、あるご門徒のお宅にご法事でお参りに行ったときのことです。

 いつもの通り、お仏壇の前に座り、お勤めを始めようと思いました。すると、そのお宅のお仏壇の様子が、いつもと違うのです。

 よく見ると、お仏壇のお花が私たちお参りをする方でなく、仏さまの方に向けておいてあるのです。

 不思議な置き方をしてあるなと思い、「なぜ、お花が仏さまの方に向けてあるのですか。いつもと違いますよね」と、奥さまに聞きました。

 すると、数日前テレビを見ていたら、有名な占い師が、お花は仏さまにお供えするのだがら、人間の方に向けるのはそもそも間違い。仏さまの方に向けるのが正しいお飾りの仕方だと話したそうで、奥さまはそれを真に受けて、その占い師の言うとおりにお飾りをしたということでした。

 しかし、それは浄土真宗の正しいお飾りの仕方とは言えませんし、そもそもその占い師は阿弥陀如来という仏さまを全くご存じではないようです。

 確かに、献花とは相手に向かってお花を捧げることですが、浄土真宗では、お花は阿弥陀如来が私たちに休むことなく注いで下さるお慈悲の心をあらわしています。ですから、私がお供えしたお花はそのまま私に注がれる阿弥陀さまのお心といただいて、こちらの方を向けるのが正しいお飾りの仕方です。

 美しいお花は、そのまま仏さまが美しいお心を私に下さっていると受け止め味わうのです。だから、お花はこちら向きでなければなりません。

 また、お仏壇は、私たちのご先祖が往生されたお浄土の世界を形に表したものです。いつもきれいなお花が供えられ、美しく整った、阿弥陀如来のお心が感じられるようなお仏壇であるよう、心がけたいと思います。

9月16日~美しいお心をわたしに…。2011年09月01日【151】

8月16日~一番の供養は何ですか?

 僧侶にとって、とても暑く忙しいお盆が過ぎました。

 さて、今年もたくさんのご門徒が初盆をお迎えになりました。

 お参りに行ったあるご家庭で、お勤めの後、ご主人が、「生前、苦労をかけた父に対して、何が一番の供養になるでしょうか」とおたずねになりました。

 その話しぶりからして、初盆を迎えた今は亡きお父さんに、精一杯のことをしたいという息子さんの思いが伝わってきました。

 「お父さんは、お浄土にお生まれになって、尊い仏さまとしてのいのちをいただかれたのですから、特別に何かを心配される必要はありませんよ」と私は答えました。すると、息子さんは、「そういわれても父の喜ぶことを何かしなければ…」と、重ねて聞かれました。

 「であれば、仏さまとなられたお父様の願いに応えることが大切ではないでしょうか。私自身、大切にしていることは、手に合掌、口にお念仏、心に報恩感謝、耳にお聴聞の生活です」と、答えました。

 私たちの手は、ともすると人を押しのけたり、拳を握ったり、何かをつかみ取ろうとする手です。その手が合わさる生活を大切に。

 私たちの口は、ともすると愚痴を言ったり、悪口を言ったりしてしまう口です。その口から報恩感謝のお念仏がでる日暮らしを。

 私たちの心は、ついつい何事も自分中心に考えがちです。「おかげさまと生かされて、有り難うと生きていく」。日々そんな心持ちで生活したいものです。

 そして何よりも大切なことは、仏法を聞く生活です。お父様はただ今、仏さまとなって阿弥陀如来とともに、後に残る縁ある方々を真実の道に導くためにはたらいて下さっています。その願いをお寺で聞かせていただくことが聴聞です。

 私は息子さんにそのようなことをお話ししました。きっと、息子さんはお寺に足を運んで下さることと思います。

8月16日~一番の供養は何ですか?2011年08月17日【150】

8月1日~蜘蛛の糸より揖保の糸?

 今年の夏は、節電のためエアコンではなく、扇風機がよく売れているそうです。

 さて、覚照寺では毎月、小学生の子どもたちを集めてお経や仏前での作法、また仏さまの教えを学ぶ学校を行っていますが、先般、その場に集まった三十人ほどの子どもたちに、私は問いかけました。

 「今年もお盆が近づいてきましたが、お盆と言えば有名な『蜘蛛の糸』のお話がありますが、皆さんは知ってますか」

 「知ってます」という返事はありませんでした。その代わりにある男の子が、

 「僕は、蜘蛛の糸は知らないけれど、揖保の糸は知ってるよ」

 揖保の糸とは有名なおそうめん。私は思わずズッコケそうになりました。

 蜘蛛の糸とは芥川龍之介の短編小説で、重罪を犯して地獄で苦しむカンダタを、お釈迦さまが救おうと極楽浄土の世界から蜘蛛の糸を垂らし、カンダタはそれをよじ登って助かろうとしますが、後から後からわれ助かろうと続いてくる地獄の住人を蹴落とそうとして、結局糸が切れて、カンダタもろともすべての人々が再び地獄に堕ちてしまうというお話です。

 私たちが幼い頃は、お盆が来ればこの話をよく聞かされたものです。カンダタが生前、蜘蛛の命を救う場面を聞いて、どんな小さな生き物にでも人間と変わらぬいのちがあることを感じました。カンダタが後から続くものたちを蹴落とす場面では、自分だけが助かろうとする自己中心的な行為に憤りを感じ、互いにたすけあい支え合うことを学びました。

 最近の子どもたちは塾やスポーツクラブなどで、大人よりも忙しいとも聞きます。子どもたちには、そういうお話が家庭の中では伝わりにくくなっていることを感じることでした。

 今年もお盆が近づいてきました。子どもさんやお孫さんが帰ってこられたら、ゆっくりとしたお盆を過ごしましょう。そして、家族そろってお仏壇に手を合わせ、ゆっくりと語り合う時間を設けるよう心がけたいと思います。

8月1日~蜘蛛の糸より揖保の糸?2011年08月03日【149】

[1]    «    98  |  99  |  100  |  101  |  102    »    [150]

- 管理用 -

最近の記事

月別記事