こころの電話

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3月1日~それぞれの語らいの場が…

 木の芽冷えの日々が続きます。

 さて、毎日朝夕、お寺の納骨堂の玄関扉の開け閉めをしていますと、ほぼ毎日お参りをされる方が数名おられます。

 最近、ご主人を亡くされた女性、奥様を亡くされた男性、数年前にご子息を亡くされてそれからずっと来られているご両親、さまざまです。

 特に、ご子息を亡くされたお父様は、お骨の納められた納骨壇にお参りされた後、必ず本堂の阿弥陀さまの方に向かってお参りをされてお帰りになります。

 きっと、納骨壇の前では、それぞれの語らいの場があるのだと思います。

 お念仏を日々いただく私たちは、今生のいのちが尽きる時、必ず阿弥陀如来のお浄土に往き生まれる身とならせていただくことは、常々お聞かせいただいてはいますが、やはり生身の人間ですので、これまで共に暮らし、共に笑い共に泣き共に人生の山坂を乗り越えてきた親しき方とのお別れはきびしく辛いものです。

 その親しき方とのよすがであるご遺骨が納まる所へ足が向き、手を合わすと共に語りかけて生前を偲ぶことは当然のことであります。

 詩人のサトウハチローさんがこのような詩を残しておられます。

 母がいる 姉がいる 妹がいる 弟がいる
 雑司ヶ谷(ぞうしがや)の墓地

 でっかい欅 大きい樫の木 カラスをみる ムクドリをみる 風をみる
 雑司ヶ谷の墓地

 弟と泣き 妹と笑い 姉と歌い 母を呼ぶ
 雑司ヶ谷の墓地

 三月は春彼岸のご法要をお勤めします。それぞれお浄土に先立たれた方を偲ぶと共に、お念仏のみ教えをお聴聞いたしましょう。

3月1日~それぞれの語らいの場が…2023年03月01日【423】

2月16日~できる人ができる支援を…

 うららかな日和に春の動きを感じます。

 さて、二月六日にトルコとシリアで発生した大地震では、亡くなった方が四万三千人以上と伝えられ、その数はまだ増えつつあります。

 またこの地震で被災した子どもたちは七百万人以上と言われ、親兄弟や家を失った子どもたちも多く、路上や学校、バスターミナルや橋の下で寝泊まりしていて、気温が氷点下まで下がり、厳しい天候にさらされていると伝えられます。喫緊の支援が求められています。

 被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 宗教学者のひろさちやさんが、昔インドを旅して出会った出来事を本に書いておられました。

 ひろさんが道に迷って、インド人に道をたずねたそうです。

 すると、その目的地はとてもわかりにくいところだったようで、そのインド人は親切に目的地まで連れて行ってくれたそうです。

 約四十分ほどかかったそうで、インド人にとっては往復で九十分かかりました。 ひろさんはその親切がとても嬉しくて、少しばかりのお金をお礼として渡そうとしましたが、彼は受け取りません。

 そして、彼はこう言ったそうです。

 「私はあなたに親切にしました。この次、あなたは誰かに親切にしてあげてほしい。それが私に対するお礼となります」

 ひろさんは、その言葉を聞いて涙が出るほど嬉しかったと述べておられ、これが施しの心であると書いておられます。

 日本も阪神淡路大震災や東日本大震災で世界中から、たくさんの親切をいただきました。鹿児島も平成五年の八・六水害ではたくさんの親切をいただきました。

 できる人が、できる支援を、トルコやシリアの方々へさせていただきましょう。

2月16日~できる人ができる支援を…2023年02月18日【422】

2月1日~最悪のシナリオは既に…

 厳しい寒さに、庭の木々が春待ち顔をしているようです。

 さて、食品や生活用品などあらゆる物が高騰する中で、物価の優等生と言われる卵までも値上がりをして、その一因に鳥インフルエンザがあるようです。

 鳥インフルエンザの中で、高い致死性があるものを高病原性鳥インフルエンザといい、鶏の致死率は七十五パーセントに達するそうです。

 鶏舎などで感染が確認されると鶏舎内のすべての鶏が殺処分され、農場の閉鎖や消毒がされます。

 今季、殺処分された鶏などは全国で既に一千万羽を超え、鹿児島県内では百三十四万三千羽になるそうです。

 数羽感染しただけで農場内の鶏をすべて殺処分してしまうことは、食品衛生上、また感染拡大を防ぐためだけと思っていましたら、そうではないことが先日、南日本新聞に書かれていました。

 鳥インフルエンザウイルスは、感染した鶏やふんなどに直接触れなければ、人にはうつりにくいのですが、ウイルスは変異するもので、感染が拡大すれば、他の動物や人間と、ウイルスが接触する機会が増え、新型の危険なウイルスが現れる可能性があります。

 ウイルス感染が広がり、人から人への感染力が強まり新型のインフルエンザになった時、最大で人口の四分の一にあたる三二〇〇万人が感染し、六四万人が死亡すると、日本政府が想定していることも、新聞には書かれていました。

 これらのことを知りますと、たくさんの鶏が殺処分されていることは、最終的には人間の命を守るための行為と言えます。

 テレビや新聞で時折、感染による大量の鶏の殺処分の報道があり、私たちは慣れっこになっているような感がありますが、私たち人間の命を守るために、たくさんのいのちが失われていることを、心にとどめておきたいと思います。

 新聞では、もしもの人間への感染拡大を最悪のシナリオと表現してありましたが、鶏たちにとってはもう、最悪のシナリオのただ中です。

2月1日~最悪のシナリオは既に…2023年02月01日【421】

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